第14章 400万円の友達の位置

午後、古屋さんは杉山奥さんに追い出された。

稲垣栄作がB市でどれほどの権威を持っているかは誰もが知っている。そんな彼の秘書が追い出されたのだから、杉山奥さんがどれほど怒っているかがわかる。

古屋さんは辛くて泣きたくなった。自分は最善を尽くしたのに、なぜ杉山奥さんは自分を追い出し、高橋遥を呼ぶように要求したのか。

「稲垣社長、杉山奥さんは恐らくあなたに対してあまり良い印象を持っていないようです。このプロジェクトは無理かもしれません。さもなければ、あなたの顔を立てないはずがありません」

稲垣栄作は新聞を見ながら、目を上げて彼女を一瞥した。「杉山奥さんは何を言ったんだ?」

古屋さんは少し...

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